ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

“ハッフルパフ卒業生が主人公(ヒーロー)になってみました”

(特に後半はネタバレです)
誰も予想しなかったであろう新ヒーロー(笑)、ニュート・スキャマンダー。
本編主人公のハリー・ポッターの血縁でもなく直接の接点もなく、同窓生だけど世代も離れた「使ってた教科書の著者」というだけの薄い繋がりの存在を主人公に据えたことは、この新シリーズの大きな勝因だと思う。

ニュートに関して「原作のイメージ」とか持ってた人はほぼ居なさそうだから抵抗も少ないだろうし。
そして彼のキャラクターが、旧シリーズのメインキャラと良い感じに差別化できているのが素晴らしい。

時代や年頃の違いもあるが、本編の少年達のような強い主張やケンカっ早さはなく、不器用でシャイ(ややコミュ障)だが人がよく、大切なものの為に一生懸命。
そんな彼の人物像に対し、非常に腑に落ちたのが「出身寮がハッフルパフである」ということ。

本編では「ヒーロー(グリフィンドール)」と「敵役(スリザリン)」の役割が明確にされているぶん、「その他大勢」ポジションを割り当てられた感じで、どうにも脚光を浴びることがなかったハッフルパフ寮。
本編に出てきた主要キャラというとセドリック・ディゴリーくらいでしょうか。
けれど、今回このニュートをもって体現された「競争心や出世欲はないが、自分の好きなことを一生懸命追求して満たされている」という人物像、確かに非常にハッフルパフらしくて、そして好感が持てるんですよね。
もしかしたらグリフィンドール生より普通に友達にしたいタイプかもしれない。
 
ということでこのシリーズ、ハッフルパフの面目躍如という意味でも画期的だった気がします。笑

映画としても、さすが大作シリーズの続編だけあってしっかり予算がかけてあり(笑)、まず映像が素晴らしい。
魔法の描写もさることながら、魔法動物達の生態が楽しいです。最新の映像技術全開。

以下雑感。

●初見の際は、ニュートの挙動について「慣れない場所でノーマジに怪しまれないか緊張している」「動物に逃げられて動揺してる」等の事情があってのことだと思ってたのですが、単純に対人コミュニケーションが苦手という描写だったんですね。確かに、相手によってはびっくりするほど目を合わせない。
 旧シリーズにはあまり居なかったタイプですね。
●ティナ、特に序盤のファッションを始め、えらく女性っぽくない雰囲気だったので、「一応冒険のパートナーとして女性のメインキャラを置きましたがこの人は恋愛対象ではありません。可愛さやセクシーさは妹の方で補完します」という意図のある演出なのかと本気で思ったんだけど、結局そんなことはないラストでした。
 ニュートのプロフィール(未来も含め)は、ハリポタ世界における「史実」として文章化されてるから、調べればある程度は先もわかるんですけどね。
●セントラルパークでサイみたいな魔法動物を惹きつけるシーンに、エディ・レッドメインの役者根性を見た。笑
 けど動物の生態って実際、大きさとか全然違っても、匂いといくつかの特徴だけで求愛対象を錯覚したりするから、ある意味非常にリアルな話でしたね。
 そこまでしたのに、最終的に天然のカバ寄り体型のジェイコブに負けるのが、どっちも哀れだけど笑った。
 ある意味、本作で一番の性的描写シーンだよね、あれ。
●ジェイコブ、あのポジションなら社交的でかっこいいアメリカンマッチョもあり得たと思うけど、むしろあのニュートとの凸凹感が非常に良かった。
 決してビジュアルで優位なわけじゃないけど、あの状況でスムーズに適応して周りと馴染むという驚異の社交性。笑
 そしてトントン拍子に美女と良い感じになるリア充ぶりが、またニュートと対照的で。
●メインキャラがみんな大人だから、何かっていうと「姿くらまし」してるぶん話の展開が早い。笑
 やっぱりあれがタブーじゃないと色々便利だね。そこも旧シリーズとの差別化になってて良いです。
●ジョニーデップが出演してることを知らなかったので、ラストで二重にびっくりした。
 ほんと妙な役をよく演じる人ですね。
●事件解決後のエピローグが充実しててよかったです。ジェイコブのその後も綺麗に回収されてたし。(しかも映画全体のラストカットが彼の笑顔という。笑)
●ニュートの帰国直前シーン、ある意味彼らしい、これでもかという程のまだるっこしさ。笑
 「これだけの時間一体何を見せられてるんだ」という感じでしたが、日本人には比較的親和性が高そうだから好かれそう。
 旧シリーズのティーン達のほうがよっぽどフットワーク軽かったよね。


そんなこんなで、新作を楽しみにしつつ。