小説家 福永令三氏 死去

gooニュース記事
http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/33/4c6fb4ff93ecc05b66578f44b7f94972.html?fr=RSS

享年83歳。
クレヨン王国」シリーズの作家さんです。

クレヨン王国の十二か月 (講談社青い鳥文庫)

クレヨン王国の十二か月 (講談社青い鳥文庫)

シリーズ既刊35作以上。
割と最近まで新作が出ていたんですね。

おそらく、自分が中学生くらいになるまでの既刊はすべて実家にあったはずの、付き合いの長い
シリーズであり、時期が時期だけに無意識的な部分で多大な影響を受けているかもしれない作品たち
です。

最終的な進路としては選択しなかったものの、自然への憧憬や生物学への興味は、子供の頃に
楽しんだこの数々の物語の影響もあったかもしれない。
そして、そんな「かつての子供たち」は沢山いることでしょう。

改めて思い返すと、児童文学ながら単純な勧善懲悪、ハッピーエンドの物語ばかりではなく、悪役の
側の視点や道理が語られたり、人間社会全体の傲慢やエゴを突きつけられたり、深みのある物語も
多かったです。
ひとつ挙げるならば、「クレヨン王国いちご村」の、復讐に執着したあまりに自らの策に溺れる
ドングリの物語は、子供心に衝撃的なアンハッピーエンドであったものの、大人になってから
自分の身の回りの出来事にこの物語を重ねることが多々。
未だに、自身への戒めにもなっている気がする。
(子供のころに読んだ本を大概このくらいのレベルで記憶しているというのは、やっぱりちょっと
珍しいんでしょうか)

本を読むことは純粋な娯楽であり、「学んでいる」という認識は全く無かったけれど、きっとこの
作品たちから、単に語彙や読解力ではなく、生き物の名前や自然を愛することの意味、そして人の
あり方について、知らぬ間に吸収して考えてきたのだろうなと、今になって思います。

だからやっぱり、子供には本を読ませるのがいいと思う。

著者には、何よりも改めての感謝を込めつつ。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。