マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

(※以下普通にネタバレを含みます)

なんというか、人間ドラマを絡めつつニューヨーカーの日常を眺めていた感じの映画でした。
全体のテーマとか、作品の山みたいなものを語ろうとすると、ちょっと掴みどころがないような。

「主人公の成長物語」というには、マギーは最初からある程度しっかりしていて、作中のポジションとしても「安定感のあるしっかり者」な面が強調されているし、本作を通して彼女が大きく変わったという実感が薄かったです。
何かしら、彼女の極端な要素や悪い癖と、その克服がわかりやすく描かれていれば、また見え方も変わったんじゃないかと思うのだけど。
(「もう私は周囲をコントロールしようとしないわ」というのが作品の中での決着になっていましたが、元々そんなタイプでもなかったような。夫と前妻の件で多少勇み足になっただけだよね・・・)

一方でライバル役(?)のジョーゼットの方が、高名な学者だけど不安定で私生活はあちこちグダグダという、個性的でギャップの激しい役柄だったので、折角シャーリーズ・セロンをキャスティングしてるんだし、もっと彼女の方を掘り下げた方が面白かったんじゃないかという気もします。
バックグラウンドもタイプも違う2人の女性の対比と、そこに生まれる奇妙な友情なんかにフォーカスして。
ついでに、大人たちに振り回されながら冷めた視点でツッコミを入れてくるジョーゼットの娘の心情も絡めたりして。
子供たちとマギーの、複雑な関係性や育った環境のギャップを超えて築かれていく関係性とか、マギーの実娘と彼らの関わりとか、そのあたりの物語もむしろ見てみたかった気がする。
という感じで、「掘り下げたら面白そうな要素」を随所に感じる割に全体が不完全燃焼だったということかな。

総じて不満だったということではなく、舞台となるニューヨークの景色やそこで働く彼らの日常含め、全体の雰囲気なんかは結構好きだったし、選択的シングルマザーや離婚・再婚が日本より一般化した社会における考え方や人の関わりについて思いを巡らすことはできました。
あと、ヒロインの小さい娘がめっぽう可愛い。この子の存在だけで相当癒される。

「幸せのあとしまつ」という副題や、「とっ散らかった人生ほど、いとおしい」というコピーは秀逸ですね。
これでいたずらに期待値が上がっていたかな。

あと、最近の映画だと珍しいくらいに、物語上の必然性のない所での日本ネタが多かったですね。
途中でチャイナタウンに遊びに行くシーンもあったし、アジアでの公開を結構意識していたのかしら。

公式サイト
http://maggiesplan.jp/